「生産技術って1日どんな仕事をしているの?」
生産技術への就職・転職を考えていて、このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
実際の仕事内容が見えないことは、就職を考える上で大きな不安に繋がると思います。
生産技術という仕事は、工程設計・設備導入・工程改善といった、職務によって仕事内容が大きく異なります。
当然、1日の過ごし方も職務によって変化します。
生産技術の職務のうち、工程設計は、「製品をどのような工程で作るか」を考え、量産できる仕組みを作り上げていく仕事です。
デスクで工程や設備について検討するだけでなく、実際に製造ラインで製品を試作評価したり、製品設計や製造など多くの関係者と打ち合わせをしたりと、仕事内容は多岐にわたります。
この記事では、自動車部品メーカーで工程設計を6年、技術職を10年以上経験している筆者が、生産技術の中でも「工程設計」の1日の仕事について紹介します。
- 1日のスケジュール
- 仕事の中で関わる人
- 忙しくなるタイミング
- デスクワークと現場作業の割合
など。
生産技術への就職・転職を考えている方にとって、働く姿をイメージする参考になれば嬉しいです。

工程改善の1日の流れも、以下の記事で紹介しています。
工程設計とは?:モノの作り方を1から考える仕事
製品設計が「どんな製品を作るか」を考える仕事だとすれば、生産技術は設計された製品を「どのように作るか」を考える仕事です。
生産技術の仕事は、大きく次の3つの職務に分けられます。

- 工程設計
設計図面をもとに、「どのような工法で、どのような手順でモノを作るか」という製造のプロセスをゼロから決める職務。 - 設備導入
工程設計で決まったプロセスを実現するために、必要な機械やロボットの仕様を決め、現場に設置してモノが作れる状態まで立ち上げる職務。 - 工程改善(製造技術)
実際に日々稼働している量産ラインに対して、不良品の削減やサイクルタイムの短縮、作業者の負担軽減など、現場に密着して課題を解決していく職務。
工程設計は、簡単にいえば「モノの作り方を1から考える仕事」です。
「どの設備を使うのか」
「どのような順番で加工するのか」
「どこで品質を保証するのか」
「何人で作業するのか」
など、実際に工場で安定して生産できるところまで具体化していく必要があります。
品質だけでなく、生産性やコスト、安全性なども考慮しながら、最適な生産工程を作り上げていきます。

工程設計の仕事内容や特徴については、以下の記事で詳細を解説しています↓
工程設計を担当する生産技術者が、実際にどのような1日を過ごしているのか。
具体的なスケジュールを見ていきます。
工程設計の1日のスケジュール
工程設計の仕事は、1日中デスクに座って設計をしているわけではありません。
私の会社の場合、工程設計は以下のような流れで仕事を進めています。

- ①工程設計
製品を作るための工程の順序、設備、条件などを決める。 - ②初期試作
決定した工程で実際に製品を作ってみて、不具合がないか確認する。 - ③生産準備
決定した製造条件を元に、条件書などの必要な帳票類を準備する。 - ④量産試作
最終決定した工程、条件で製品を量産する。 - DR(Design Review)
生産準備のフェーズを次に進めて良いかを関係部門に審査してもらう。
工程設計 担当者は、1つの製品立ち上げに対し、この流れで仕事を進めていきます。
それぞれの会社や生産する製品によって違いはありますが、大まかな流れは同じです。
①工程設計と②初期試作を実施して、不具合があれば設計変更→再び試作評価という流れを何度か繰り返します。
そして、問題ないことが確認できたら、③生産準備を進め、④量産試作へ移行します。
各フェーズへの移行可否は、DRで関係部門に判断してもらいます。
工程設計の仕事で一番のメインとなるのは、自分が設計した工程で実際に製品が製造できるかを確認する「試作評価」です。
この試作評価がある日とない日で、1日のスケジュールは大きく変わります。
工程設計を担当する生産技術者の1日の流れは、試作評価の有無で次のように変化します。
試作評価がない日のスケジュール:設計、調整業務がメイン
| 時間 | 仕事内容 |
|---|---|
| 8:00 | 出社・メール、スケジュール確認 |
| 8:30 | 製品図面の確認・設計業務 |
| 11:00 | 製品設計・製造・検査部門などとの打ち合わせ |
| 12:00 | 昼休み |
| 13:00 | 自部署での業務進捗共有 |
| 13:30 | 製造現場と試作日程の調整 |
| 14:30 | 設計業務 |
| 17:00 | 翌日の予定を確認して退社 |
このスケジュールは一例で、製品立ち上げの状況によって、1日の過ごし方は大きく変わります。
- 工程設計初期:
1日の大半は設計業務に従事 - 製品立ち上げ直前:
帳票類やDR審査に必要な資料の準備
といった具合です。
担当者は大抵、複数の案件を掛け持ちしています。
なので、ある製品の工程設計や帳票準備と同時並行で、別製品の試作評価などを進めているのが一般的です。
工程設計の初期段階では、
- この形状はどうやって加工するのか
- 既存の設備で生産できるのか
- 新しい設備や治工具が必要なのか
といった内容を、製品図面を確認しながら検討します。
この検討は、デスクの前で考えるだけでは終わりません。
考えた条件で本当に製品ができるかを検証するため、時には現場に出て実際のラインを確認したり、現場の作業者に分からない部分をヒアリングしたりします。
工程設計は担当者1人で完結するものではなく、関係部署との意見のすり合わせも必要です。
製品設計や製造、検査部門と打ち合わせを行いながら、必要な情報を集め、モノの作り方を具体化していきます。
また、私のような成形加工(鍛造、鋳造など)の技術者の場合、工程だけでなく製品を作る金型の形状の設計も工程設計に含まれます。

工程設計や金型設計が1日で終わることはなく、数日〜2週間程かけて最適な工程を決定していきます。
試作評価がある日のスケジュール:1日かけて現場で立ち会い
| 時間 | 仕事内容 |
|---|---|
| 8:00 | 出社・メール、スケジュール確認 |
| 8:30 | 現場作業者と試作の条件、評価内容の確認 |
| 9:00 | 試作立ち会い |
| 12:00 | 昼休み |
| 13:00 | 自部署での業務進捗共有 |
| 13:30 | 試作サンプルの確認、品質保証へ評価を依頼 |
| 14:30 | 試作結果のまとめ |
| 17:00 | 翌日の予定を確認して退社 |
試作評価では、現場の作業者に生産条件を伝え、実際に製品を作っていきます。
担当者の仕事は、安全、品質、生産面で問題がないかを、試作に立ち会って確認していくことです。
- 製品が図面どおりの形状に加工できているか
- 最初に設定した条件から変更は必要なかったか
- 製品の搬送など、加工以外の部分で問題はないか
などを立ち会いで確認していきます。

私の会社の場合、工程設計直後の少量試作であれば、数時間程度で終わりますが、立ち上げ直前の量産評価の場合、1日かけて試作を行うこともあります。
試作が完了したら、現場作業者から意見をもらった後に結果のまとめ。
不具合があれば、設計変更の検討を進めます。
このように工程設計の仕事は、「考える」「人と話す」「現場で確かめる」ことを繰り返しながら、モノの作り方を具体化していくのが特徴です。
工程設計ではどんな人と関わる?
工程設計は、一人で黙々とモノの作り方を考える仕事ではありません。
新しい製品を量産できる状態まで作り上げるためには、製品設計や製造、設備メーカーなど、多くの人と協力しながら工程を作っていく必要があります。
工程設計で関わる主な相手と、やり取りする内容をまとめると以下のようになります。
| 関わる相手 | 主なやり取り |
|---|---|
| 製品設計・開発 | 製品図面、要求仕様、加工方法などの確認 |
| 製造部門 | 作業方法、現場の要望などの確認 |
| 検査部門 | 検査方法、品質保証方法などの検討 |
| 設備・保全部門 | 設備仕様、保全性、安全性などの確認 |
| 生産管理 | 生産量、生産時期、量産開始時期などの確認 |
| 設備・治工具メーカー | 設備仕様、製作スケジュールなどの打ち合わせ |
製品設計・開発部門
製品設計は「モノの形を考える側」、工程設計は「モノの作り方を考える側」という関係です。
モノづくりを実現するためには、両者の意見のすり合わせが必須となります。
工程設計では、製品設計が作成した図面や要求仕様をもとに、実際のモノの作り方を考えていきます。
しかし、設計された形状が必ずしも簡単に作れるとは限りません。
「この形状では加工が難しい」
「この公差を満たすにはコストがかかる」
といった問題があれば、製品設計と相談しながら形状や仕様を見直していきます。
製造・検査・保全部門
工程を考えるうえでは、実際にその工程を使う製造部門との連携も欠かせません。
机上では問題なく見える工程でも、実際の現場では
「作業者が安全に作業しにくい」
「設備の仕様上、製品の搬送ができない」
といった問題が見つかることがあります。
また、安定して良品を作れる工程にするためには検査部門、設備を安全に使い続けるためには保全部門との調整も必要です。
工程設計では、品質・生産性だけを見るのではなく、実際に働く人の作業性や安全性、設備のメンテナンス性まで考えながら工程を作り込んでいきます。
設備・治工具メーカー
新しい設備や治工具を導入する場合は、社外のメーカーとも頻繁に関わります。
工程設計側が「どのようなモノを、どれくらいの時間で、どの程度の精度で作りたいのか」といった要求を伝え、それを実現する設備や治工具の仕様をメーカーと一緒に検討します。
仕様を決めた後も、製作途中の確認や試運転などを行い、実際に量産で使用できる状態まで仕上げていきます。

簡単な治工具や小さな設備の改造程度であれば、工程設計の担当者が対応しますが、大規模な設備の新設が必要な場合は、設備導入の担当者にも協力を要請します。
工程設計では「技術力」だけでなく「調整力」も必要
このように、工程設計では社内外の多くの人と関わりながら仕事を進めます。
製品設計 「この仕様は変えられない」
製造 「もっと作りやすくしてほしい」
会社 「設備投資を抑えてほしい」
と、それぞれ異なる要求を受けることもあります。
すべての要望をそのまま実現できるとは限らないため、品質・コスト・生産性・安全性などのバランスを考えながら、関係者が納得できる工程へまとめていくことも工程設計の重要な役割です。
工程設計は、専門的な技術力だけでなく、さまざまな立場の人と協力しながら仕事を前に進める調整力が求められる仕事といえます。
工程設計の仕事で忙しい日はどんな日?

工程設計の仕事は、毎日同じ忙しさというわけではありません。
新製品の開発から立ち上げまでのスケジュールに合わせて仕事を進めるため、比較的落ち着いて工程を検討できる時期もあれば、現場対応や関係部署との調整に追われる時期もあります。
特に忙しくなりやすいのが、「新製品の試作」「量産立ち上げの直前」「立ち上げ後のトラブル発生時」の3つです。
新製品の試作
単発で忙しいのは、やはり試作評価のある日です。
特に、既存の製品と形状が異なる「新製品の試作評価」は、生産条件がこれまでと異なり、トラブルも発生しやすくなります。
新製品の工程設計では、過去の図面や実績などをもとに「この方法なら作れるだろう」と考えて工程を設計します。
しかし、机上で考えた通りに製品が作れるとは限りません。
工程設計の担当者は、試作時に問題が見つかれば、その場で原因を調べたり、製造や品質、製品設計などの関係者と対策を検討したりします。
さらに、試作が終われば結果を整理し、次の試作までに工程を修正しなければなりません。

試作評価がスケジュール通りに終わらないことはしばしばあり、そのような日は残業が多くなりがちです。
試作の日は、「現場で確認する→問題を見つける→対策を考える」という仕事が集中するため、どうしても普段より忙しくなってしまうのです。
量産立ち上げの直前
工程設計が最も忙しくなりやすい時期は、量産立ち上げの直前です。なぜなら、量産開始という明確な期限が決まっており、それまでに工程を完成させなければならないからです。
- 現場で使用する帳票類、手順書の作成
- 量産に使用する治工具や金型などの手配(予備も含む)
- DRの審査に必要な資料の作成
- 関係部署との調整
などといった、生産準備を進める必要があります。
試作評価が上手く行っている場合は良いですが、立ち上げの直前でも試作で見つかった問題が解決できていない場合、
- 問題への対策と再評価
- 作業方法の見直し
などといった仕事も重なってきます。
量産開始スケジュールは簡単に延ばせないため、
「残された期間でどこまで対策するのか」
「量産までに絶対に解決すべき問題は何か」
と優先順位をつけながら仕事を進める必要があります。
工程設計の仕事は、量産開始が近づくほど時間的な余裕が少なくなり、忙しさも増していくのです。
立ち上げ直後にトラブルが発生したとき
予定外に忙しくなるのが、量産立ち上げ直後にトラブルが発生したときです。
試作評価を繰り返していたにも関わらず、立ち上げの直後には、
- 狙った寸法が出ない
- 必要な生産能力を確保できない
- 想定していなかった不良が発生する
といった問題が起こることがあります。
こうしたトラブルが発生すると、予定していた仕事をいったん止めて、原因調査や対策を優先しなければなりません。
現場で実際の製品や工程を確認し、製造や品質などの関係者から情報を集め、原因を絞り込んで対策を考えます。
工程設計では複数の案件を並行して担当するのが一般的なため、一つのトラブル対応によって、ほかの仕事のスケジュールにも影響が出ることがあります。
「今日はこの工程を検討する予定だったのに、トラブル対応だけで1日が終わった」
ということも、生産技術の仕事ではよくあるケースです。

通常の私の仕事の残業は月20〜30h程度ですが、設計した製品の立ち上げでトラブルがあった時は、70h/月程度の残業が何ヶ月も続くことがありました。
工程設計の忙しさは一定ではなく、試作評価や量産立ち上げなど、実際にモノを作るタイミングに仕事が集中しやすいのが特徴です。
デスクワークと現場作業の比率は?:6:4 〜 5:5 程度

工程設計というと、「デスクに座って図面を見ながら工程を考える仕事」をイメージするかもしれません。
しかし、実際には製造現場に足を運ぶ機会も多くあります。
会社や担当する製品、開発のタイミングによって大きく異なりますが、工程設計の仕事を大まかに分けると、デスクワークと現場の比率が6:4 〜 5:5 程度が一つの目安です。
デスクと現場をバランス良く行き来する仕事のため、1日をデスクワークだけで過ごすのが苦痛な人にとっては、おすすめの仕事です。
デスクワークでは工程の検討や資料作成を行う
工程設計のデスクワークでは、製品図面や要求仕様を確認しながら、どのような工程で製品を作るのかを検討する仕事が中心です。
例えば、以下のような仕事があります。
- 製品図面や仕様の確認
- 工程レイアウトや加工方法の検討
- 生産能力やコストの検討
- 関係部署との打ち合わせ
- 工程表や条件書、検討資料の作成
実際にモノを作る前にさまざまな条件を整理し、「この工程で本当に量産できるのか」を机上で検討します。
現場では「考えた工程が本当に成立するか」を確認する
工程設計の現場作業では、検討した工程が実際の製造現場で成立するかを確認する仕事が中心です。
例えば、以下のような仕事があります。
- 工程検討に必要な現地確認(実際の設備、作業スペースなど)
- 既存品の問題点などを現場作業者にヒアリング
- 試作立ち会いで加工条件、作業の安全性の確認
- 試作した製品を自分の目で確認、不良品の選別
製品開発の初期段階では図面確認や工程検討が中心となるため、デスクワークの割合が多くなります。
一方、量産立ち上げが近づくと、実際に製品を流しながら問題点を洗い出し、製造や検査部門などの関係者と対策を考えるなど、現場での作業が増えていきます。
このように、工程設計では毎日決まった割合でデスクワークと現場作業をするわけではなく、製品の開発フェーズによって働く場所が変わるのが特徴です。
設備導入や工程改善と比べると現場作業は少なめ
生産技術の中で比較すると、工程設計は設備導入や工程改善よりも現場で仕事をする割合は少なめです。
設備導入では、設備の据え付けや試運転、立ち上げなどで長時間現場にいることがあります。
量産改善でも、実際に稼働している工程を観察したり、トラブルの原因を調査したりと、現場での仕事が多くなります。
それに対して工程設計は、現場を確認するだけでなく、そこで得た情報をもとにデスクに戻って工程を考えることも重要です。
デスクで考える→現場で確認する→問題点を持ち帰って再び考える
このサイクルを繰り返しながら、量産できる工程を作り上げていくのが工程設計の働き方といえます。
まとめ|工程設計の1日の流れを知って働くイメージをつかもう

工程設計は、「モノの作り方を1から考える仕事」です。
製品図面を見ながら工程や加工方法を検討するだけでなく、製造現場に足を運んだり、製品設計・製造・品質などの関係者と打ち合わせをしたりしながら、実際に量産できる工程を作り上げていきます。
毎日決まった仕事を繰り返すわけではありません。
試作評価や量産立ち上げの直前は、現場での仕事が増え、トラブルが発生すれば予定していた仕事を変更して対応することもあります。
そのため、工程設計の仕事は、デスクでじっくり考える仕事と、現場で実物を見ながら問題を解決する仕事の両方に携わるのが特徴です。
決して楽な仕事ではありませんが、デスクワークだけで1日を過ごすのが苦痛の人には、おすすめの仕事です。
この記事が、これから生産技術への就職を考えている就活生や、転職を検討している技術者の方にとって、「工程設計として働く自分」をイメージするきっかけになれば嬉しいです。




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