生産技術は「やめとけ」と言われるのはなぜ?現役が語るきつい理由3選

生産技術の悩み

「生産技術の仕事に興味があるけれど、ネットを見ると『辛い』『やめとけ』という声が多くて不安…」

そんな風に悩んでいませんか?

その仕事が「自分に本当に向いているのか」を見極めるためには、仕事の過酷さを正しく認識する必要があります。

結論としては、すべての生産技術が常にきつい訳ではありません。

しかし、生産技術の仕事に特有のきつさもあるのも事実です。

  • 現場と他部署の板挟みになる葛藤
  • 遅れが許されない納期へのプレッシャー
  • 突発でのトラブル対応

などは、生産技術特有の厳しさといえます。

私も技術職として10年以上働いていますが、大きなやりがいもたくさんあった反面、辛いこともたくさんありました。

この記事では、これから生産技術を目指す方に向けて、生産技術職特有の「3つの辛い理由」を包み隠さず解説します。

大変な裏側にある圧倒的なやりがいも含めてお伝えしますので、今後のキャリア選択の参考にしていただけると嬉しいです。


本題の前に:生産技術の職務の違いについて

生産技術はモノづくりの要であり、工場を動かす司令塔とも言える職種です。

生産技術の仕事内容(職務)は、主に以下の4つに分類できます。

生産技術の4つの職務
  1. 工程設計:
    新しい製品を量産するために、製造工程を考える
  2. 設備導入:
    製品の量産に必要な設備を導入する
  3. 工程改善:
    量産開始後に既存の工程をより良くする
  4. 設備改善:
    設備の問題を解決したり性能を高めたりする

これらの職務はそれぞれ仕事が異なるため、当然きつい部分も職務ごとに異なります。

この後の解説では、職務ごとにどのような辛さがあるかも含めて説明していきます。

生産技術の仕事内容の分類については、以下の記事で詳細を解説しています↓


理由① 現場や他部署との板挟み

現場や他部署との板挟み

生産技術の仕事で、多くの人が壁を感じるのがこの「人間関係の板挟み」です。

理系の技術職というと、パソコンや機械、図面と黙々と向き合うイメージを持つかもしれません。

しかし、現実は全く異なります。

コミュニケーションが苦手な技術職は、この部分に特に悩みます。

私も内向的な性格なので、現場との人間関係に悩むことがよくありました。

多岐にわたる部署との意見調整が必須

「工程設計」や「設備導入」など、製品・ラインの「立ち上げ」に関わる職務では、多くの部署との意見調整が不可欠です。

新しい生産ラインや製品の立ち上げ、設備の導入といった大きなプロジェクトは、決して自分たちだけでは仕事を進められません。

いろいろな部署の意見を吸い上げ、方向性を調整するのが、生産技術の仕事です。

  • 営業:
    「とにかくお客様の要望を満たして、利益がでるように」
  • 製造:
    「これまでと同等以上の生産性で、現場が楽に作業できるように」
  • 品質管理:
    「不良品を絶対に出さない、検査基準をクリアできるように」
  • 生産管理:
    「規定のC/T、可動率を達成し、安定した生産ができるように」
  • 保全:
    「故障しにくく、メンテナンスが簡単な設備になるように」

というように、各部署がそれぞれの立場から要求をぶつけてきます。

これらの中には「品質を上げようとすると生産スピードが落ちる」といった相反する意見も多くあります。

この各部署の意見の調整が生産技術がきつい理由の1つです。

すべての部署の間に入って最適な着地点を見つけ、全員を納得させるのが生産技術の大切な役割です。

現場からの容赦ない要望への対応

「工程改善」や「設備改善」などの現場改善に関わる職務では、実際に設備を動かす「現場(製造オペレーター)」とのやり取りは日常茶飯事です。

生産技術が良かれと思って設計した新しい設備やルールであっても、現場からは

「前の方が使いやすかった」
「この動きは疲れるから直してほしい」

といったリアルで容赦ない声が飛んできます。

現場が納得して協力してくれなければ、理論上は正しい改善でも、実現することはできません。

日頃から現場に足を運んで作業員の声に耳を傾けたり、他部署の担当者と顔を合わせて信頼関係を築いたりする「泥臭いコミュニケーション」が不可欠です。

そのため、「人と関わるのが苦手だから製造業/技術職を選んだ」という人にとっては、この調整業務の多さが大きな精神的ストレスとなります。

生産技術の仕事では、高度な専門知識以上に「人間関係の構築力」が最も重要なスキルです。


理由② 休日出勤や夜勤が伴うこともある

生産技術は他の技術系職種に比べて「勤務時間が不規則になりやすい」という特徴があります。

これはワークライフバランスを重視する人にとって見過ごせないポイントです。

生産技術は、常に工場の稼働状況に合わせた働き方が求められるため、カレンダー通りの勤務にならないことが多々あります。

私も突発的な品質トラブル対応で夜勤の稼働に立ち会ったり、工事の立ち会いで土日に出勤することは、数多くありました。

設備工事やラインの改造は「土日」が基本

「設備導入」で新しい設備を設置する工事では、土日や長期連休での出勤が多くなりがちです。

工場がフル稼働している平日は、当然ながら生産を止めて機械をいじることはできません。

そのため、新しい設備の搬入や大掛かりな改造、定期的なメンテナンスといった工事は、

  • 工場の稼働が停止する週末
  • GW、お盆、年末年始などの長期連休

を利用して一気に行われます。

実際の作業を行うのは外部の設備メーカーや工事業者です。

しかし、生産技術の担当者も、安全に作業ができているか確認するための「工事立ち会い」や最終的な「試運転の確認」をなど行うために土日に出勤する必要があります。

代休や振替休日は取得できますが、

「週末は必ず休みたい」
「家族や友人との予定を優先したい」

という人にとってはスケジュールが立てづらく、大きなストレスになり得ます。

突然のトラブルによる夜勤や緊急対応

工場が昼夜勤の交代制で稼働している場合、夜間や早朝に設備トラブルが発生することも珍しくありません。

現場のオペレーターや保全担当者だけでは原因がわからず、生産ラインが完全にストップしてしまうような深刻な事態が起きると、「工程/設備 改善」担当の生産技術職に出番が回ってきます。

夜勤で復旧作業にあたったり、会社によっては休日や深夜に自宅から緊急で呼び出されたりすることもあります。

「自分の担当設備が止まって生産に穴を開けたらどうしよう」

というプレッシャーが常に付きまとい、心身ともに気が休まらない時があることも、この仕事の過酷な一面です。

体力的なタフさに加えて、不規則な働き方を受け入れる覚悟が必要になります。


理由③ 絶対の納期が存在する大きな仕事

生産技術の仕事において、大きなプレッシャーの1つとなるのが「絶対に守らなければならない納期」の存在です。

生産技術の仕事は、この絶対の納期により瞬間風速的にハードになりがちです。

製品・設備ともに「立ち上げ」が絡む仕事が上手くいっていないと、稼働直後に地獄を見ます

お客様の生産計画に直結する「遅れの許されない仕事」

「工程設計」「設備導入」が関わる立ち上げの仕事は、遅れが絶対に許されません。

新製品の立ち上げや新しい生産ラインの構築は、数ヶ月から時には年単位におよぶ一大プロジェクトです。

そのスケジュールのゴール(量産開始日)の先には、必ず「製品を待っているお客様」がいます。

BtoB(企業間取引)の部品メーカーなどであれば、自分たちの立ち上げの遅れが「お客様の工場のラインを止める」という大惨事に直結しかねません。

そのため、社内の事情やトラブルを理由にした「納期の延長」は、原則として絶対に許されないのです。

納期直前のトラブルと高負荷

製品・ラインの立ち上げの仕事は、納期の直前はどうしても高負荷になります。

いくら綿密に計画を立てていても、新しい設備や初めて作る製品にトラブルはつきものです。

  • 機械が設計通りに動かない
  • 目標のサイクルタイムが出ない
  • 想定外の不良品が発生する

といった問題が、立ち上げの終盤になって次々と発覚することがあります。

しかし、ゴールである納期を後ろにズラすことはできません。

そのため、遅れを取り戻すためのシワ寄せは、すべて生産技術の担当者にのしかかってきます。

納期が近づくにつれて、不具合の改修や調整作業に追われ、残業時間が跳ね上がります。

連日のように現場に張り付いて、「超・高負荷」な状態に陥ることも珍しくありません。

「なんとしてでも期日までに量産できる状態に仕上げなければならない」

という重圧は非常に重く、精神的にも体力的にも限界ギリギリの戦いになることがあります。

この「逃げ場のないプレッシャー」こそが、生産技術が辛いと言われる大きな理由の一つです。


生産技術がきついのは職種のせいだけではない

ここまで生産技術特有のきつい部分を紹介してきましたが、すべての生産技術が常にきついわけではありません。

生産技術の仕事は「突発でのトラブル対応」や「製品・ラインの立ち上げ前」など、瞬間的に高負荷になりがちです。

しかし、慢性的に仕事が高負荷の場合、生産技術の「職務・環境」以外による原因があるはずです。

「職務要因」以外のきつさの原因には、以下のようなものがあります。

個人要因

担当者の仕事の進め方が原因で、仕事がきつくなっているケースです。

  • 仕事を抱え込みすぎる
  • 仕事に優先順位がつけられない

などが該当します。

このケースは、現場からの依頼や要望を断れない人や細かい仕事までこなそうとする人が特に陥りやすいので、注意が必要です。

マネジメント要因

仕事の割り振りがうまく管理されていないことが原因で、仕事がきつくなっているケースです。

これは、個人のセルフマネジメントではなく、上司や組織のマネジメントの問題になります。

  • チーム全体の仕事量や進捗が見えていない
  • 特定の担当者だけに仕事が集中する
  • 担当者に割り振られた仕事の優先順位が曖昧

などが該当します。

これらは、担当者だけでどうにかするのが難しい要因です。

なので、改善のためには、上司に相談するなど周りに協力を求める必要があります。

組織・体制要因

会社の人員配置や役割分担による「組織・体制」にきつさの原因があるケースです。

  • 立ち上げと改善など、1人の担当者が複数職務を掛け持ちする組織体制になっている。
  • 仕事量に対して、そもそも人員が足りていない。

などが該当します。

このケースは自分ではどうしようもありません。

本当にきつい場合は、異動や転職なども視野に入れる必要があります。


別の記事で、それぞれの忙しさの原因への対処法を紹介しています。


生産技術の仕事はきついが、やりがいも大きい

ここまで生産技術の過酷な面をお伝えしてきましたが、この仕事は決して「ただ辛いだけ」ではありません。

数々の苦労を補って余りあるほどの、圧倒的なやりがいが存在します。

プレッシャーを乗り越えた先にある「圧倒的な達成感」

「工程設計」「設備導入」のような立ち上げ担当の仕事は、やり切った後の大きな達成感が魅力です。

何ヶ月、時には年単位の時間をかけ、図面上の構想から始まったものが、巨大な設備として目の前に完成する。

数々のトラブルや納期への極限のプレッシャーを乗り越え、初めてラインから製品が生み出された瞬間の光景は、何度経験しても感慨深いものがあります。

苦労が大きかった分だけ、プロジェクトをやり切った時の達成感は非常に大きいです。

「自分がこの工場を動かしている」
「自分が手がけた製品が世に出る」

という実感は、他では味わえないほどの大きな自信と喜びに変わります。

私は自動車部品のメーカーで働いていますが、初めて自分の立ち上げた製品が自動車に使われているのを見た時、何とも言えない感動がありました。

泥臭く築いた信頼関係が「現場との一体感」を生む

「工程改善」「設備改善」のような現場に近いポジションは、現場と一体になって仕事を進めることにやりがいと面白さがあります。

最初は現場からの終わりのない改善要求に苦しみ、厳しい意見を突きつけられることも多いと思います。

しかし、作業員が働きやすくなるよう泥臭く改善を繰り返していくうちに、流れは変わっていきます。

現場の不満に真摯に耳を傾け続けていると

「あいつがあれだけ頑張ってくれてるんだから、俺たちも協力しよう」

と、現場の空気が変わる瞬間がやってきます。

苦労して築き上げた人間関係が実を結び、部署の垣根を越えて工場全体が「ひとつのチーム」として一体感を持てたときの感動は格別です。

現場の作業員から

「新しい設備、すごく使いやすくなったよ。ありがとう」

と直接感謝の言葉をもらえるのも、改善担当の生産技術ならではの特権だと言えます。

身近な誰かの役に立てたという実感は、大きな仕事とは違ったやりがいがあります。


まとめ:生産技術はきついがやりがいのある仕事。合わないなら別の道も正解

生産技術の仕事が「きつい」と言われるのは、職種特有の3つの理由があります

  • 現場や他部署との板挟み
  • 休日出勤や夜間トラブルへの対応
  • 絶対に遅れが許されない大きな仕事

これらの理由により、生産技術の仕事はどうしても高負荷になることがあります。

一方、きつい仕事を引き換えに、大きなやりがいもあります。

新しい製品・ラインを立ち上げたときの達成感や、現場とともにトラブルを乗り越えたときの一体感は、他の仕事では決して味わえない特別なものです。

だからといって「誰もが歯を食いしばってきつさに耐えるべき」だとは思いません。

仕事にはどうしても「向き・不向き」があります。

もし実際に働いてみて、

「自分にはこの仕事は向いていない」
「どうしても辛くて心身が持たない」

と感じたなら、決して自分を責めず、無理をしないでください。

その時は、設計開発や品質保証といった別の技術職へキャリアチェンジしたり、思い切って他業界へ転職を検討したりすることも立派な選択肢です。

この記事を通じて現場のリアルな厳しさを知った上でも

「大きな達成感を味わってみたい」
「現場とチームになってモノづくりをしたい」

と思えたなら、ぜひ自信を持って、生産技術の世界へ飛び込んでみてください。

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