生産技術の年収は低い?高い?平均年収のカラクリと高年収企業の見分け方、構造を徹底解説

技術職の転職活動

「今の働きに対し、自分の給料は適正なのだろうか…」
「他社や他の職種に比べて、今の自分の給料は低くないだろうか?」

生産技術として、日々の激務や突発的なトラブル対応に耐えながら仕事を続けていると、ふと疑問に思ことはありませんか?気になって、同業他社や他業界の平均年収、年収ランキングなどの記事を見てしまうこともあると思います。

ただ、実際に他社の年収を調べても、いまいち実態は掴めません。なぜなら、ネットや四季報で「平均年収」を検索しても、いろいろな数字が出てきて、どれが正解か分からないからです。

実は、その数字には製造業特有のカラクリがあります。生産技術職の実態年収は、ネットに出ている各企業の平均年収を大きく上回っており、決して年収の低い職種ではありません。

本記事では、自動車部品メーカーの管理職として10年以上、技術職を務める筆者が、

  • 平均年収が実態とズレるカラクリ
  • 生産技術職の平均年収
  • 企業ごとの年収差を決める要因
  • 年収の実態を調べる方法

など、表向きのデータには出ない構造について解説します。

これらの仕組みを知ることで、今の自分の年収が適正か、客観的に判断できるようになります。


「平均年収」が実態とズレるカラクリ

自分の会社と他社の待遇を比較する際、「就職四季報」や有価証券報告書に載っている「平均年収」などを参考にする人は多いと思います。

しかし、これらの「全社平均年収」の数字は、そのまま真に受けてはいけません。多くの場合、生産技術職の実際の年収水準は、公開データよりも数十万円〜数百万円単位で高くなります。

このような「ズレ」の理由は、製造業特有の人員構成にあります。

理由:総合職と技能職(現場作業員)の比率による差

四季報などに掲載される平均年収は、「全従業員の給料を足して、人数で割ったもの」です。

製造業の場合、本社で働く事務スタッフや、企画・設計などを担う「総合職・専門職」だけでなく、実際に工場で機械を動かし、ライン作業を行う「技能職・オペレーター」を多数抱えています。

  • 総合職・技術職(生産技術など)
    課題解決や改善などの付加価値を生み出すため、基本給が高く設定されている。
  • 技能職・一般職
    定型的な業務や交代勤務を担うため、基本給のベースが比較的抑えられやすい。

工場主体のメーカーでは、従業員の7〜8割が「技能職」というケースも珍しくありません。人数の多い技能職の給与水準に引っ張られて、会社全体の平均年収は「技術職の実態」よりも低く算出されてしまう(低く見えてしまう)のです。

技能職比率の高い企業だと、生産技術の年収は公表値より高い

総合職ー技能職の比率は、その業界や企業によって異なります。主な業界毎の総合職ー技能職比率の目安は、以下の通りです。

業界総合職比率技能職比率
自動車40〜50%50%〜60%
自動車部品30% 〜 40%60% 〜 70%
素材、鉄鋼20%〜35%65%〜80%
食品、日用品20%〜35%65%〜80%
電機、精密機器30%〜50%50%〜70%
医薬品70%〜80%20%〜30%

自動車部品や鉄鋼、食品など、技能職比率の高い業界の企業では、生産技術職の年収は公表されている平均年収より高くなります

例えば、四季報に「平均年収500万円(平均年齢40歳)」と書かれているメーカーがあったとします。大卒で入社した生産技術職が、平均年齢である40歳で600万円〜800万円近くをもらっているケースは珍しくありません。

技能職比率の高い業界だと、30代前半頃には、ネットで検索して出てくるような各社の平均年収に到達します。私の会社でもそうでした。

一方、電機、医薬品など、総合職比率の高い業界では、平均年収の公表値と実際の生産技術職の年収にほとんど差はありません。


生産技術職の平均年収について

企業や業界だけでなく、生産技術と他の職種との年収の差についても解説していきます。

生産技術の年収は”平均以上”に高い

生産技術職の平均年収は、大手転職エージェントや、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」など、調査する機関によって公表値にばらつきがあります。調査結果の一例は、以下の通りです。

データ元平均年収
doda約524万円
求人ボックス約494万円
マイナビ転職エージェント約521万円

表以外のデータも含めてまとめると、生産技術職の平均年収は、おおよそ500万円〜600万円が目安と言えます。

国税庁の調査による日本の全給与所得者の平均年収が約460万円、製造業全体(現場の技能職等も含む)の平均年収が約377万円であることを踏まえると、生産技術職の年収は世間一般と比較して高い水準にあることがわかります。

生産技術は、設備の自動化、工程設計、歩留まり向上といった、企業の利益に直結する高度なエンジニアリング能力が求められます。そのため、ベースとなる給与が高く設定されやすいのです。

年代別の年収目安は、以下のようなイメージです。

  • 20代:350〜500万円
  • 30代:500〜700万円
  • 40代:650〜900万円
  • 管理職:900万円以上も可能性あり

こちらも業界や企業規模による差が大きいので、一概には言えませんが、全体的に年功序列の傾向が色濃く残っています。

これは、単に日本の古い企業風土だけが理由ではありません。生産技術職は、問題解決スキルの引き出しや、社内外での調整に必要なコミュニケーション力など、「経験」がものを言う職種だからです。

”忙しい”生産技術の年収は総合職の中でも高い

生産技術職の年収は、同じ会社の総合職の中でも高くなる傾向があります。大きな理由は、「残業や休日出勤による手当の厚さ」です。

生産技術は、突発的な設備トラブルなどへの対応が多く、設計や開発といった他の技術職種に比べて残業が多くなりがちです。また、工場の稼働が止まっている土日や夜間に新規ラインの立ち上げや設備のメンテナンスを行うことが多いため、休日手当や夜勤手当などが給与に上乗せされます。

結果として、実質的な年収が大きく跳ね上がります。あまり嬉しくない差ではありますが、金銭面だけで見れば、同じ等級でも他部署の総合職に比べて有利になります。


企業ごとの年収を決めるのは「規模」と「利益率」

「給料を上げたいなら、成長業界に転職するべきか…」

そう考えている生産技術職の方は多いかもしれません。

しかし、企業ごとの年収を決めているのは、業界ではありません。製造業を年収格差を決めているのは、「企業規模(従業員数や売上高)」と「営業利益率」です。

大手企業の年収は当然高い

基本的に、企業の年収はその企業の大きさに比例します。

規模が大きい会社ほど、

  • 設備投資額が大きく、生産量を上げやすい
  • 教育制度が充実しており、社員の生産性が高い
  • 福利厚生、賞与が手厚い

ため、売上も社員の年収も高くなる傾向があります。

同じような部品を作っているメーカーでも

  • 中小メーカー:500〜650万円
  • 大手メーカー:700〜900万円

という年収差は珍しくありません。

規模が小さくても高年収になる「高利益率」企業の存在

一方で、従業員数が数百人規模の中堅・中小企業であっても、大手メーカー並み、あるいはそれ以上の高年収を得られるケースがあります。それが「利益率が異常に高い企業」です。

他社には絶対に真似できない特殊な技術を持っていたり、特定のニッチな部品で世界シェアの大部分を握っているような企業がそれに該当します。

  • キーエンスのようなニッチトップ企業
  • 東京エレクトロン、ディスコなどの半導体関連企業
  • 化学、医薬品メーカー

などの企業です。

「この部品はこの会社にしか作れない」という強みがあるため、メーカーに対しても強気な価格交渉ができ、非常に高い営業利益率を確保できます。 十分な利益(=原資)があるため、優秀な生産技術のマネージャーやエンジニアに対して、惜しみなく高い報酬を支払うことができるのです。

「1人あたりの営業利益」に注目せよ

利益率は作っている製品によって出やすい、出にくいがあります。同じ業界の企業の年収が近くなるのは、利益率が近いことが理由です。しかし、同じ業界でも利益率の高い企業、低い企業は存在するので、その部分で年収の差が出ます。

その企業が、社員に高い年収を払うだけの余裕があるかを見極めたいのであれば、会社の「規模」や「業界」だけを見るのはやめましょう

  • 営業利益率
  • 社員1人あたりの営業利益(営業利益 ÷ 従業員数)

この2つを自社と他社で比べてみてください。上場企業であれば、有価証券報告書などのIR資料からこれらの数値を確認することができます。

この値が高い企業ほど、社員一人ひとりが生み出す付加価値が高く、人件費として高い給料を還元する余裕があるという裏付けになります。

営業利益率であれば10%を超えているか、社員1人あたりの営業利益であれば1,000万円を超えているかが、高利益企業の1つの目安になります。


平均年収にだまされない「高年収企業」の見分け方

実際にここまで解説したような優良企業を見分けるには、どうすれば良いのか。2つの方法を紹介します。

OpenWorkのような口コミサイトで「職種別・年代別」のリアルを見る

四季報の「平均」の罠にハマらないためには、OpenWorkのような、現役社員や退職者の生の声が集まる口コミサイトの活用が有効です。

企業全体の評価を見るのではなく、フィルター機能を使って「技術職」「20代後半〜30代」などといった条件で絞り込めば、自分と同等の社員の口コミだけを見ることができます。「基本給ベース」「業績連動のボーナス比率」などといった、給与の実態も読み取ることも可能です。

転職スカウトサービスで求人表を見る

他社の生産技術の年収を最も手っ取り早く知る方法は、ビズリーチやリクルートダイレクトスカウトなどの転職スカウトサービスに登録し、他社からのオファー金額を見ることです。

サイトに登録し、プロフィールを入力することで、自分のスキルに見合った他社からのスカウトが年収の情報とともに届きます。自分の適正年収、市場価値を知る意味でも、おすすめの方法です。

おすすめの転職エージェントサービスについては、以下の記事で詳細を解説しています。

まとめ:見かけの平均年収に惑わされないために、企業の構造を理解する

生産技術職の年収は、製造業特有の「数字のカラクリ」で低く見えがちです。しかし、生産技術は決して年収の低い職種ではありません。

  • 生産技術の実態年収は、四季報などの「全社平均」より数十万〜数百万円単位で高い
  • 現場のオペレーター比率が高い業界ほど、そのギャップは大きくなる。
  • 企業の「規模」や「営業利益率」で年収の上限が決まる。
  • 各社の年収の実態は、OpenWorkや転職スカウトサービスで知ることができる。

もしあなたが、今の年収に対して「毎日の激務と見合っていない」と感じているなら、それはあなたのスキルが低いからではなく、「利益率の低い企業構造」が原因かもしれません。

まずは、今回紹介したような方法で、自社と他社の年収や利益率を比較してみてください。そして一度、転職エージェントに登録してみて、自分の市場価値を客観的に見てみることをおすすめします。

この記事が、今のあなたの年収が適正かを見極めるヒントになると嬉しいです。

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